頭痛(片頭痛、緊張型頭痛)

脳神経
いろいろな頭痛があります

分類

頭痛は、頭部または頭頚部の痛みで、外来、入院に関わらず頻度は多い

一次性頭痛

片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛、薬物乱用頭痛など、画像などで器質的疾患が検出されないもの
頻度は、緊張型頭痛69%、片頭痛16% [Olesen, 2005]

二次性(症候性)頭痛

外傷、出血、感染など、原因が特定されるもの

経過から判断(病因診断)

急性

突発性:出血(クモ膜下出血、脳出血)、血管解離
急性(数時間以上):脳・髄膜炎、膿瘍、ときに脳腫瘍

慢性

持続性:慢性硬膜下血腫、脳症、副鼻腔炎、緊張型頭痛
発作性:片頭痛、群発頭痛
電撃性:神経痛、三叉神経痛、帯状疱疹

診断と治療

問診 + 簡単な神経診察 + 脳CT(原因が未特定の場合は必須)

一次性頭痛

片頭痛

有病率 12%、若年が多い(99%以上が65歳以下)
30%に前兆として”ギザギザ”などの視野異常
拍動性、リラックスしたときに生じやすい
日常生活が送れないくらいの痛み(動くと増悪)
ストレス、アルコール、カフェイン、睡眠不足、気圧の変動が誘因
86%に臭過敏(緊張型頭痛は6%に随伴)
何らかの刺激により、三叉神経からCGRPなどの神経伝達物質が放出され、脳内血管に作用
⇒ CGRPの作用を抑制する薬剤が有効

頭痛時の治療
NSAID、トリプタン製剤、エルゴタミン製剤
レイボー®(選択的セロトニン1F受容体作動薬)CGRPやグルタミン酸の放出抑制

予防薬(1か月3回以上で検討)
アミトリプチリン(トリプタノール® 5-10mg)
β遮断薬:プロプラノロール(インデラル® 20-30mg)
Ca遮断薬:ロメリジン(ミグシス® 10mg)
ACE/ARB:カンデサルタン(ブロプレス® 4-8mg)
抗てんかん薬:バルプロ酸ナトリウム(デパケン® 400-600mg)
抗CGRP抗体:ガルカネズマブ(注射、エムガルティ®)、フレマネズマブ(注射、アジョビ®)、エレヌマブ(注射、アイモビーグ®)

緊張型頭痛

有病率 20%
午後~夕方以降に締め付けられるような頭痛
両側性で、歩行などの日常動作により増悪しない
誘因は、精神的・身体的ストレス、不安、運動不足、デスクワーク、睡眠不足、天候の変化
触診による頭蓋周囲筋の圧痛

頭痛時の治療
NSAID、アセトアミノフェン

予防
軽い全身運動、理学療法、心理療法
アミトリプチリン(トリプタノール® 5-10mg)
クロミプラミン(アナフラニール® 75-150mg)
チザニジン(テルネリン® 3-6mg)

群発頭痛

有病率 10万人あたり50-400人(40歳以下の男が多い)
短時間、片側性の頭痛発作で、結膜充血、流涙、鼻漏などの副交感神経系の自律神経症状を伴う
15-180分間持続が、1回/2日~8回/日の頻度
群発期は2週間~3か月続く

発作時
トリプタン製剤、100%酸素

予防薬
ロメリジン、エルゴタミン、炭酸リチウム、バルプロ酸ナトリウム、ガバペンチン、ステロイド剤

薬物乱用頭痛

有病率 1~2% 女性が70%
NSAIDを含めた薬剤多用による頭痛
原因薬剤の中止もしくは漸減
中止後に生じる頭痛への対処(トピラマート、アミトリプチリン)

危険因子
メタボリックシンドローム(肥満)最も大きな因子
不安障害 ⇒ 精神安定剤を中止
運動不足 ⇒ 運動励行
喫煙 ⇒ 禁煙を勧める

二次性頭痛

予後不良な疾患を見逃さない
病歴(脳に影響する疾患の有無)
緑内障、急性緑内障発作(眼の痛み、霧視、失明の可能性あり)
神経診察 ⇒ 左右差の有無、髄膜刺激徴候の確認
出血(脳出血、クモ膜下出血) ⇒ 脳CT
感染症 ⇒ 髄膜刺激徴候、採血(炎症反応) ⇒ 迷ったら髄液検査

文献

Olesen J, et al. The Headaches. Philadelphia, 2005.
日本頭痛学会. 慢性頭痛の診療ガイドライン2013
頭痛の診療ガイドライン 2021

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