パーキンソン病は、確実は診断方法はなし
10万人に200人と高頻度の疾患
治療方法によって、大きくQOLが変化するので、適切な治療が必要
診断
パーキンソニズム
= 運動緩慢 + 筋強剛 or 静止時振戦 or 姿勢保持障害 のいずれか1つを合併
★2つの支持的基準
ドパミン治療に反応
L-ドパ誘発性のジスキネジア
静止時振戦
嗅覚低下 or MIBGシンチの異常
★絶対的除外基準
小脳失調
下方への眼球運動障害
前頭側頭型認知症 or 進行性失語
パーキンソニズムが下肢に限局
ドパミン治療に反応なし
薬剤性の可能性
Datscan正常
治療
レボドパ製剤(メネシット®、マドパ®)
効果の切れが良い。多くのPD患者でfirst choiseになる。
ドパミン受容体刺激薬
麦角系(ぺルマックス®、カバサール®)
心臓弁膜症のリスク、吐気
非麦角系(ミラペックス®、レキップ®、ノウリアスト®)
突発性睡眠などの副作用
MAO-B阻害薬(エフピー®、アジレクト®、エクフィナ®)
脳内のドパミンの代謝を抑制
中止時に効果が切れるのが遅い(1週間以上)
COMT阻害薬(コムタン®)
L-DOPAの脳以外の場所(末梢臓器)での分解を抑制
ゾニサミド(トレリーフ®、エクセグラン®)
抗てんかん薬として開発
静止時振戦、wearing offに有効
アマンタジン(シンメトレル®)
脳血管性パーキンソニズム、ジスキネジアが激しいときに使用
ドロキシドパ(ドプス®)
すくみ足の症状に有効な可能性
抗コリン薬(アーテン®)
脳のアセチルコリン受容体のうちムスカリン作動性受容体に拮抗
静止時振戦に効果。認知機能低下、せん妄誘発の副作用
アデノシンA2A受容体拮抗薬・イストラデフィリン(ノウリアスト®)
ドパミン神経の変性・脱落によるMSN(中型有棘神経細胞)の過剰興奮を抑制
off時間を減少、精神症状(うつ症状)にも効果あり
レボドパカルビドパ経腸療法 (LCIG; levodopa-carbidopa intestinal gel)
レボドパ・カルビドパ合剤であるデュオドーパ®(内服薬では、メネシット®と同じ分類)を、薬の吸収部位である小腸(空腸)に直持続的接投与
オフの消失、活性を安定化
非運動症状(抑うつ、アパシー)にも有効、認知症患者にも適応可能
体軸症状(すくみ足、姿勢反射障害)にも有効な可能性
脳深部刺激法
視床下核、淡蒼球、視床に、電極挿入して電気刺激
有効治療域の拡大、感受性を調整
静止時振戦に著効
MRガイド下集束超音波治療(FUS)
静止時振戦に対して有効
一次的に前頭部の髪を切る必要性、両側は困難
運動療法
リハビリテーション
BDNF(Brain-derived neurotrophic factor; 脳由来神経栄養因子)を誘導
非運動症状と対策
運動症状ではない症状も多彩
非運動症状も予後に大きく関与
睡眠障害
覚醒障害、日中過眠 ドパミンアゴニスト減量を検討
夜間不眠 一部のドパミンアゴニスト
レム睡眠行動障害 クロナゼパム
下肢静止不能症候群(むずむず脚症候群) ドパミンアゴニスト
精神症状
うつ症状 ドパミンアゴニスト、抗うつ剤、ノウリアスト®
幻覚、妄想 生活指導、ドパミン製剤の減量、クエチアピン
認知機能障害
自律神経障害
起立性低血圧、排尿障害、便秘、性機能障害
神経因性膀胱、逆流性食道炎
感覚障害
疼痛、異常感覚、しびれ
排尿障害
パーキンソン病の約半数に合併
夜間頻尿(60%以上)、尿意切迫感(33-54%)、日中頻尿(16-36%)、尿失禁
リハビリ 膀胱訓練、骨盤底筋訓練
ドパミン補充 ドパミン欠乏が原因のときもあり
過活動膀胱(上位型、痙性、蓄尿障害)
抗コリン薬(ポラキス®、バップフォー®) 高次機能障害の副作用あり
ミラベグロン(ベタニス®、1回50mg 1日1回、β3受容体刺激薬)
尿意切迫感、頻尿、切迫性尿失禁を改善。心拍数増加の副作用
低緊張性膀胱(下位型、弛緩性、排尿機能障害)
ウラピジル(エブランチル®、1回15mg 1日2回、α1受容体拮抗薬)
タムスロシン(ハルナール®、 1回0.2mg 1日1回、α1受容体拮抗薬)
前立腺平滑筋弛緩、膀胱頚部平滑筋弛緩。血圧低下の副作用
自己導尿