南九州に多い疾患です。
HTLV-1感染者の中で、生涯発症率はATL 約5%、HAM 約0.3%。
聖マリアンナ大学の山野先生などにより作成されたガイドライン「HTLV-1関連脊髄症(HAM)診療ガイドライン2019」がとても参考になります。
機序(推測)
HTLV-1ウイルスがCD4陽性Tリンパ球に持続感染
HTLV-1感染細胞数(プロウイルス量)が多いほど発症リスク増大
脊髄に浸潤した感染リンパ球を中心に免疫応答が過剰
慢性炎症病巣を形成・維持 ⇒ 神経組織を障害
診断
①症状(両下肢の痙性、排尿障害)から疑う
②血液HTLV-1抗体陽性 → 髄液HTLV-1抗体陽性
③脊髄MRIなどで他の疾患を除外
疾患活動性の評価
髄液CXCL10、髄液ネオプテリン濃度 が有用(保険適応なし)
治療法の選択
①ATLの合併の有無
有の場合(異常リンパ球 5%以上)は、血液内科にコンサルト
高リスク群:HTLV-1プロウイルス量 4%以上、高齢、ATLの家族歴
②活動性の評価
活動性:高
ステロイドパルス療法(考慮可能) + 内服ステロイド(3~10mg/day)
活動性:中
ステロイド内服(3~10mg/day) + インターフェロンα
活動性:低
リハビリ、神経因性膀胱の治療、対症療法
特記
通常は抗レトロウイルス薬(逆転写酵素阻害薬)は使用しない
疾患活動性の評価
成人T細胞白血病(ATL)の診断
HTLV-1関連脊髄症患者において、ATLに関するフォローは必要
感染後長期間を経て、発症
高齢者、中年以降の母子感染者には要注意
診断は下記の分類による
リンパ球数 4000/µL以上
リンパ節病変の有無
ATL病変の有無(中枢神経、骨、胸水、腹水、消化管)
LDH ≧1.5NUL、補正Ca ≧11.0mg/dL
異常リンパ球 ≧5%
全て陰性で、キャリアーと判断される