顔面、まぶたがピクピクする症状には、大きく3つに分類
眼瞼ミオキミア eyelid myokymia
眼の周囲の眼輪筋が意思に反してピクピクと小さく痙攣(さざ波のように)
数秒程度の動きで、1日に何度か生じる
日常生活に支障なし
上眼瞼または下眼瞼
通常は片側性、両側に生じることもあり
眼瞼けいれん blepharospasm
眼瞼が勝手に収縮し、瞬目が増え、進行すると眼を開けることが困難
ジストニアに分類
大脳基底核を含む運動制御機能の障害
通常は両側性
眼瞼の刺激感・不快感、羞明や瞬目過多などの症状を合併
片側顔面けいれん hemifacial spasm
眼の周囲の筋肉、進行すると同側の頬、口角、下顎部分の筋肉に拡大
意思に反してピクピクと痙攣
睡眠中にも出現有
顔面神経が脳動脈により物理的に刺激されることにより発症
通常は片側性
鑑別方法
症状が軽い場合は鑑別が難しい
両側性:眼瞼けいれん
片側性:眼瞼ミオキミア、片側顔面けいれん
瞬目テスト(軽くできるだけ速い瞬目を連続して行う)
ミオキミア:瞬目に影響なし
眼瞼けいれん:瞬目中に他の顔面筋の不随意の運動が混入(瞬目が不規則になる)
片側顔面けいれん:瞬目中にピクピクと不随意運動が混入
眼瞼ミオキミア | 眼瞼けいれん | 片側顔面けいれん | |
症状の分布 | 片側性が多い 下眼瞼または上眼瞼 移動することもあり | 両側性が多い 左右差があってもOK 眼輪筋が強く収縮 | 片側の顔面筋 眼輪筋、頬部、口角の筋肉 一部の筋から拡大する |
動きの特徴 | さざ波のような小さな動き 不規則に短時間の速い動き 開閉瞼が障害されない 特徴的な表面筋電図波形 睡眠中 無 | 両眼を閉じるような動き 開瞼失行(瞼が開けにくい) まばたきの回数増加 瞬目が不規則になる 睡眠中 無 | 衝動的で不規則な動き 複数筋にまたがるときは同期する 時間帯により頻度は変化する 睡眠中 有 |
機序 | ストレス、眼精疲労、睡眠不足 興奮性の食品、カフェイン アルコール | 大脳基底核の障害 薬剤性(向精神病薬) パーキンソン病、進行性核上麻痺 誘因:ドライアイ、日光、風、ストレス、読書、テレビ、ドライブ | 顔面神経が血管などにより物理的に刺激 脳動脈の蛇行 誘因:不安、ストレス、疲労 |
治療 | 経過観察で良い 眼精疲労をとる目薬 ストレスの原因への対応 | 収縮筋にボトックス注射 抗けいれん薬 抗コリン薬、ドパミン製剤 内服薬の有効率は低い | 収縮筋にボトックス注射 抗けいれん薬 内服薬の有効率は低い 神経血管減圧術(ジャネッタ手術、有効率は90%) |
予後 | 数日~数週間で自然軽快 | 放置すれば75%は悪化 自然軽快は10%のみ | 自然軽快は少ない |