感覚障害がない(目立たない)上肢筋萎縮症の鑑別診断
頚椎症性筋萎縮症(cervical spondylotic amyotrophy; CSA)
脊髄前根~前角の障害
過半数は急性発症
脊髄レベルに一致する筋萎縮(神経原性変化)が特徴
近位型CSA(Keegan型頚椎症)
C5またはC5-6
Delto、Biceps、Brachioradialis、棘下筋Isp
遠位型CSA
C8 +/- (C7 or Th1)
後骨間神経 & C8:指伸筋(ED)、短母指伸筋(EPB)、長母指伸筋(EPL)→ 下垂指
尺骨神経 & C8:背側骨間筋(DI)、小指外転筋(ADM)
示指深指屈筋(FDP、正中神経、Th1)はspareされることが多い
神経痛性筋萎縮症(neuralgic amyotrophy; NA)
多発単神経炎、ときに腕神経叢炎
末梢神経の分布に障害の差があり
初期に痛みを伴う
傍脊柱筋が針筋電図で正常(脱神経所見なし)
近位型CSAとの鑑別
NAではBiceps(筋皮神経)が障害を免れることが多い
(但しproximal CSAでは 筋力低下は通常Delto > Biceps)
遠位型CSAとの鑑別
後骨間神経支配筋と尺骨神経支配筋での筋力低下の程度に差がある
筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis; ALS)
比較的びまん性な筋力低下(神経原性変化)の分布
脊髄レベルや末梢神経の分布とは異なる
慢性進行性
針筋電図で脱神経電位、特にfasciculaion potentialあり
参考文献
園生雅弘. Keegan型頸椎症(頸椎症性筋萎縮症). Clinical Neuroscience 11, 1459-1461, 2022
園生雅弘. MMT・針筋電図ガイドブック. 中外医学社 2018