アミラーゼ上昇の鑑別
急性膵炎
腹痛を主訴にした患者の 0.9%
臨床症状
3項目中2項目
①上腹部の急性腹症発作と腹部全体の圧痛(ほぼ全例)
②血中または尿中アミラーゼ上昇(膵性アミラーゼ or リパーゼ)
③超音波、CT、MRIのいずれかで急性膵炎の画像変化(膵臓腫大と辺縁の不明瞭化)
原因
胆石、アルコール、高TG血症(>1000mg/dL)、薬剤性、特発性
膵炎以外のアミラーゼ上昇
唾液腺疾患 流行性耳下腺炎、外傷
消化管疾患 消化管穿孔・潰瘍、腸閉塞、急性胆嚢炎、膵梗塞
婦人科疾患、腎不全、熱傷、妊娠
薬剤性 モルヒネ、利尿薬、ステロイド、アシドーシス(ph <7.32)
急性膵炎の重症度判定
厚生労働省難治性膵疾患に関する調査研究班、2008年より
予後因子
下記で、3項目以上該当すると重症膵炎
SIRS基準:①BT >38℃ or <36℃、②HR >90 /min、③RR >20 /min or PaCO2 <32 Torr、④WBC >12000 or <4000 /mm3 or 幼若球 >10%
造影CT Grade
下記スコアー合計 2点以上で重症膵炎
炎症の膵外進展度
前腎傍腔 0点
結腸間膜根部 1点
腎下極以遠 2点
膵の造影不良域
3つの区域(膵頭部、膵体部、膵尾部)の中で
各区域に限局 or 膵の辺縁のみ 0点
2つの区域 1点
2つの区域全体 or それ以上 2点
急性膵炎の治療
補液
心機能確認
150-600ml/h 生食 or ラクテック
平均BP 65 mmHg以上 and 尿量 0.5mL/kg/h以上 を維持
疼痛コントロール
ペンタゾシン(ペンタジン®、ソセゴン®)、フェンタニルなど
感染予防
重症の場合のみ 発症後72時間以内に広域スペクトラム抗菌薬投与を検討
栄養管理
診断後48時間以内の早期に経腸栄養(経口腸)を少量開始
低脂肪、低残渣(エレンタール® 80g + 水 300ml を20-30mL/hで開始)
腹部コンパートメント症候群
腹腔内圧 >12mmHgの状態
腹部膨満、腹水貯留に注意
疑われるときは膀胱内圧を測定
対応
30-45度のhead up
経鼻胃管から内容物除去
浣腸による排便
腹水穿刺
利尿薬、持続的血液濾過透析
蛋白分解酵素阻害薬
ナファモスタット(フサン®)10-30mg + 生食 500mL(2時間で投与) 1日2回
エビデンスは未確立、保険収載は 1回10mg