Visual snow syndrome(VSS)は、視界全体が砂嵐のような模様で覆われてしまう症候群で、日本語では視界砂嵐症候群、小雪症候群と呼ばれています。
平均発症年齢は29歳、男女差はほぼなし、罹病率は稀~2%(稀ではなさそう)
失明すること、死に至ることはほぼなし
自然に改善する可能性は低い [光畑, 2021]
診断基準 [Metzler, 2018]
1 視界に小雪が3か月以上(動的で、小さい点が全視野に)
2 以下の4つの内、2つ以上に該当
a 視覚保続または反復視
b 羞明
c 夜盲症
d 内視現象の亢進(目そのものを原因とする視覚現象)
3 片頭痛の前兆ではない
4 他の疾患では説明できない
鑑別診断
以下のような類似した症状を呈する疾患の鑑別が必要 [Fraser, 2022]
目そのものの疾患 飛蚊症、黄斑変性症
Charles Bonnet syndrome 著しい視力低下を伴う
幻視が継続する状態
VSSの病態
片頭痛を合併することが多い(50~80%)
視覚皮質(後頭葉)の興奮性変化(PETによる代謝変化の報告が複数)
視床機能異常
一人一人のVSSにおいて、病態は異なると考えられています [Fraser, 2022]
治療
確立した治療法はなし
片頭痛を併発しているVSSには片頭痛の治療が検討されますが、効果は非常に限定的
ミグシス®、デパケン®、プロプラノロール(インデラル®)
抗てんかん薬が部分的に有効
ラモトリギン、ベンゾジアゼピン系、トピラマート、バルプロ酸、ペランパネル
文献
Fraser. Visual snow: undates on pathology. Current Neurol Neurosci Rep 2022
Metzler and Rovertson. Current Neurol Neurosci Rep 18, 52, 2018
光畑みずほ. 日眼会誌 125, 438-445, 2021