抗菌薬の使い方

感染症
抗菌薬・抗菌剤

使用方法の考え方

抗菌薬投与前、広域への変更前には、培養採取
MRSA、緑膿菌、多剤耐性腸内細菌などの耐性菌リスクを考慮
各施設のアンチバイオグラムを考慮

感染部位

病歴、身体所見、検査所見から推測
微生物
培養で同定
血液培養は2~3セット

抗菌薬の効果

時間依存性の殺菌作用 ペニシリン系、セフェム系、カルバペネム系、バンコマイシン

濃度依存性の殺菌作用 アミノグリコシド系、マクロライド系、キノロン系、リネゾリド

臨床効果の判定

自・他覚症状の改善
解熱の程度
炎症所見の改善
画像所見の改善

抗菌薬の変更

同一系統の抗菌薬には変更しない
抗菌薬の増量
臓器移行性の考慮
原因菌の同定、薬剤感受性にてde-escalation

抗菌薬の特徴

施設と時代により変化します。参考程度に。

レンサ球菌 Streptococcus
肺炎球菌 Streptococcus pneumoniaeなど

腸内細菌
市中の菌
Escherichia coli, Klebsiella pneumoniae, Proteus mirabilis
院内の菌
Serratia marcescens, Citorobacter sp., Enterobactor sp.

ブドウ糖非発酵菌(NFGN)
Pseudomonus aeruginosa, Acinetobacter

非定型肺炎(非細菌性微生物)
マイコプラズマ、クラミジア、レジオネラ

MRSAに有効

バンコマイシン VCM
テイコプラニン TEIC
リネゾリド(ザイボックス®) LZD VMC耐性腸球菌に適応
ダプトマイシン DAP

腸球菌に有効

アンピシリン ABPC
アンピシリン/スルバクタム ABPC/SBT
バンコマイシン VCM
ピペラシリン PIPC
ピペラシリン/タゾバクタム PIPC/TAZ

緑膿菌に有効

ピペラシリン PIPC
ピペラシリン/タゾバクタム PIPC/TAZ
セフタジジム CAZ
セフェピム CFPM
カルバペネム系
ニューキノロン系
アミノグリコシド系 GM or AMK 上記と併用にて耐性菌出現を抑制

嫌気性菌に有効

アンピシリン/スルバクタム ABPC/SBT
ピペラシリン/タゾバクタム PIPC/TAZ
セフメタゾール CMZ
カルバペネム系

感染部位における原因菌

(以下は、使用方法の一例)

感染性心内膜炎を疑うとき
VCM 1g 2回で開始、その後de-escalation

市中肺炎
CTRX 1g 2回 + AZM(経口)1日 1回500mg (3日間)
ABPC/SBT 3g 4回 + AZM(経口)1日 1回500mg (3日間)

院内肺炎 or 好中球減少時
緑膿菌をカバーするように
PIPC/TAZ 4.5g 4回 +/- VCM 1g 2回

腎盂腎炎
CTRX 1g 2回

蜂窩織炎
CEZ 1g 3回

胆管炎、胆嚢炎(市中)
腸内細菌、嫌気性菌を念頭に
ABPC/SBT 3g 4回

細菌性髄膜炎
15-50歳
CTRX 2g 2回 + VCM 0.5-1g 2-3回
MEPM 2g 3回 + VCM 0.5-1g 2-3回
50歳以上、妊婦、免疫不全患者にはリステリア菌もカバー
CTRX 2g 2回 + VCM 0.5-1g 2-3回 + ABPC 2g 6回
MEPM 2g 3回 + VCM 0.5-1g 2-3回 + ABPC 2g 6回
外傷・術後
MEPM 2g 3回 + VCM 0.5-1g 2-3回

抗菌薬治療期間の目安

髄膜炎 髄膜炎菌 7日、肺炎球菌 10-14日、リステリア 21日以上
咽頭炎 A群β溶連菌 10日
肺炎 肺炎球菌 解熱後5日、マイコプラズマ 7-14日、レジオネラ 7-14日、GNR 21日
敗血症 表皮ブドウ球菌 5-7日、黄色ブドウ球菌 最低14日、GNR 7-14日、カンジダ 培養陰転化から14日
膀胱炎 3-7日、急性腎盂腎炎 7-14日、再発性腎盂腎炎 28日以上
前立腺炎 21日

その他はこちらを参照 

参照

東京医科大学感染症科 佐藤昭裕先生のスライド 抗菌薬①~③
京都私立病院協会. 「抗菌薬適正使用マニュアル」
管理人所属施設のアンチバイオグラム
矢野晴美. 絶対わかる抗菌薬 はじめの一歩 羊土社 2010

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