糖尿病

代謝
チンパンジーが糖尿病になった例の報告もあります

概要

1型糖尿病 自己免疫疾患、遺伝的因子により膵臓のβ細胞が破壊による完全な、あるいはほぼ完全なインスリン欠乏
2型糖尿病 遺伝的因子、環境因子による程度の異なるインスリン抵抗性、インスリン分泌障害、グルコース産生の増加

世界に約4億人 有病

診断基準

①空腹時血糖 126mg/dL以上
②75gOGTTで2h後血糖 200mg/dL以上
③随時血糖 200mg/dL以上
④HbA1c 6.5%以上

上記の①~③にいずれかで「糖尿病型」
「糖尿病型」が2回以上で「糖尿病」
①~③のいずれかと④で「糖尿病」

インスリン分泌指数 
⊿血中インスリン値(30分値-0分値, µU/mL)/⊿血糖値(30分値-0分値)
初期分泌低下のある場合は 0.4以下

インスリン抵抗性 HOMA-IR
空腹時インスリン値(µU/mL)×空腹時血糖値(mg/dL) / 405
1.6以下が正常、2.5以上でインスリン抵抗性が高い
(但し、BS 140 mg/dL以上、インスリン使用中は評価不可)

治療

1型糖尿病 ⇒ 専門医に紹介
インスリン製剤を使用

2型糖尿病の治療
HbA1c 9.0%以上が2回以上または断続的に持続 ⇒ 専門医に紹介

治療目標

BMI 25以上の場合は 3%以上の減量
HbA1c 7.0%未満
LDL 120 mg/dl未満

食事・運動療法

食事療法

過体重・肥満を伴う2型糖尿病には、エネルギー摂取量制限が推奨
2型糖尿病には、6~12ヵ月以内の炭水化物制限は有効
2型糖尿病には、低GI食、食物繊維摂取は有効

運動療法

2型糖尿病には、有酸素運動、レジスタンス運動が推奨
1型糖尿病には、運動療法が有効かどうかは不明
1型・2型糖尿病には、運動が心血管リスクファクターを改善
1型・2型糖尿病には、レジスタンス運動は筋力向上され推奨

治療薬(2型糖尿病)

インスリン抵抗性改善薬

ビグアナイド薬 
肝臓での糖新生を抑制
末梢での糖利用の促進
腸管からのグルコース吸収の抑制
メトグリコ(メトホルミン®、グリコラン®)、ブホルミン(ジベトス®)
(eGFR >30ml/min/1.73mm2のとき)
SU薬に比べると血糖値を下げる力は弱いが、体重が増加しにくい
ビグアナイド薬のみの治療では、低血糖を起こす可能性は少ない
副作用:乳酸アシドーシス
腎機能障害のある患者でビグアナイド薬使用中は、ヨード造影剤は休薬が必要

イメグリミン
ビグアナイド薬と類似作用
ツイミーグ® (500mg)
1日2-4T 分2 (メトグリコよりも見た目の内服量が少ない)
eGFR 45 mL/mL/1.73m2未満は避ける

チアゾリジン薬
筋肉や肝臓でのインスリンの働きを抑制
アクトス®(ピオグリタゾン)
インスリン抵抗性改善薬、体液貯留作用、脂肪細胞の分化促進作用
副作用:浮腫、心不全、骨折

インスリン分泌促進系

DPP-4阻害薬
血糖が高いときに インスリン分泌促進 & グルカゴン分泌抑制
小腸から分泌されるインクレチンはインスリン分泌を刺激
インクレチンを分解する酵素(DPP-4)を阻害
ジャヌビア®、エクア®、トラゼンタ®、ネシーナ®

スルホニル尿素薬
インスリン分泌を促進
アマリール®、グリミクロン®
膵臓β細胞膜上のSU受容体に結合
数時間以上にわたりインスリン分泌を促通
低血糖を生じやすい、体重増加

速効性インスリン分泌促進薬
より速やかにインスリン分泌を促進
グルファスト®、スターシス®(グリニド薬)
内服後、短時間のみ膵臓のβ細胞を刺激(3~4時間)
朝夕食直直前の内服

GLP-1受容体作動薬(注射薬)
インクレチンを体外から補充
トリルシティ®
GLP-1は、食事血糖値が上がると、膵臓β細胞のGLP-1受容体につく
⇒ インスリン分泌促進 & グルカゴン分泌抑制
GLP-1は、血糖値が高い場合にのみインスリンを分泌

糖吸収・排泄調節系

α-グルコシダーゼ阻害薬
小腸からのブドウ糖吸収を遅らせる
ベイスン®、グルコバイ®
小腸にある酵素(αグルコシダーゼ)を阻害
炭水化物からブドウ糖への分解を遅らせる ⇒食直前内服
副作用:肝障害、腹部膨満、放屁、下痢

SGLT2阻害薬(sodium-glucose cotransporter 2阻害薬)
尿からブドウ糖排泄を促進
スーグラ®、フォシーガ®、ルセフィ®、カナグル®、ジャディアンス®
腎臓の尿糖排泄閾値を低下させる
副作用:脱水、尿路感染症

体重減少

セマクルチド リベルサス®

トピラマート トピナ®

治療方針

⓪ 食事・運動療法

① メトホルミン or DPP-4阻害薬

② メトホルミン(or イメグリミン) and DPP-4阻害薬 併用

③-1 食後血糖が高い時
αグルコシダーゼ阻害薬 or グリニド薬 を追加
③-2 全体に血糖が高い時
SGLT2阻害薬 追加
③-3 早期のGLP-1受容体作動薬導入も選択枝に

④ ピオグリタゾン追加 or SU剤追加 を考慮

膵臓癌との関連

膵癌の4-20%で糖尿病を合併

新規糖尿病発症で
「糖尿病家族歴なし」+「65歳以上、2kg以上の体重減少、病前BMI 25未満 のいずれか」の場合は
膵癌の感度 80.8%、特異度 67.6% [Lee, 2012]

参考

糖尿病診療ガイドライン 2024
田中逸. 糖尿病診療アドバイス. 日本医事新報社 2021
Lee JH et al. J Clin Gastroenterol 2012, 46, e58-61(Korea)

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