病態
Basedow病、Plummer病(過機能性甲状腺結節)、TSH産生(下垂体)腫瘍、中毒性腺腫様甲状腺結節
無痛性・産後・亜急性甲状腺炎、薬剤性甲状腺炎、IgG4関連甲状腺炎、甲状腺ホルモン内服
症状
体重減少(時に増加)、甲状腺腫大、眼球突出
頻脈、血圧上昇、不整脈、動悸、心房細動
大量の発汗、ほてり、手指振戦、神経過敏、不安
検査・診断
TSH低下、fT4正常
甲状腺疾患以外の可能性
⇒ 数W~数M後に再検、潜在性甲状腺機能亢進症
TSH低下、fT4上昇
Basedow病の可能性を検討 ⇒ 診断基準
①TSH受容体抗体 TRAb 陽性 or 甲状腺刺激抗体 TSAb陽性 ⇒ Basedow病
②甲状腺シンチグラフィー
びまん性 ⇒ Basedow病
局所の集積 ⇒ Plummer病、中毒性腺腫様甲状腺腫
集積の低下、消失 ⇒ 甲状腺炎
治療
甲状腺中毒症状に対して
β遮断薬(インデラル® 30-90 mg 分3、テノーミン 25-100 mg 分2-4)
亜急性甲状腺炎の痛みに対して
NSAIDs
ステロイド 40mg前後を 7-10days、その後1-2Wで漸減
Basedow病
抗甲状腺薬(再発率 40%)
メチマゾール(メルカゾール® )
初期量 30mg 分3-4
機能亢進症状が消失したら 1-4週毎に漸減 維持量 5-10mg 分1-2
プロピルチオウラシル(チウラジール®)
初期量 300mg 分3-4
機能亢進症状が消失したら 1-4週毎に漸減 維持量 50-100mg 分1-2
副作用:無顆粒球症(投与開始2か月以内)
12-18ヵ月継続し、その後終了を検討
放射線療法(21%)
薬物治療で効果が乏しい、もしくは再発時
欧米では第一選択
手術(5%)
悪性疾患の疑い
内服・放射線で治療困難、重度の甲状腺眼症の合併
巨大で頚部圧迫、6-12ヵ月後に妊娠希望
甲状腺クリーゼ
Basedow病などの甲状腺中毒症に何らかの誘因が加わり発症する致死的疾患
100万人あたり年間約2人発症
致死率、後遺症率 ともに 約10%
Basedow病診断から1年以内が45%
20%は甲状腺クリーゼがBasedow病の診断前に発症
誘因として、抗甲状腺薬の不規則な内服や中断、感染症
検査は fT3、fT4、TSH、TRAb
治療は専門施設に依頼
診断基準
fT3またはfT4の高値
症状(誘因なのか症状なのかに注意)
中枢神経症状 不穏、せん妄、精神異常、傾眠、けいれん、昏睡
発熱 38℃以上
頻脈 130 bpm以上
心不全症状 NYHA Ⅳ度
消化器症状 吐気、嘔吐、下痢、黄疸
(神経症状 + 1症状)or(神経症状以外の3症状)で確実例
治療
抗甲状腺薬 + 無機ヨウ素
必要に応じて副腎皮質ステロイド補充(相対的副腎皮質機能低下)
ハイドロコルチゾン 300mg/day
Β1選択性β遮断薬
短時間作用型β遮断薬 ランジオロール(オノアクト®)
非β1選択性β遮断薬プロプラノロールは推奨されない